今まで、プラトンの思想と聖書の教えを比較してきました。
このシリーズに込めた私の願いは、一人でも多くの方々が、神が愛しておられる世界に、神の愛をもって向かい始めることです。そのためには、プラトンの物語よりも、聖書の物語(と私が考えるもの)を受け入れるほうが助けになるのではないかと思ったからでした。
物語の変化と生活の変化
メタナラティブ、あるいはパラダイムとも言われる「物語」の変化は重要です。しかし、だからといってそれだけで、生活が変わるわけではありません。結局、一日一日、主イエスに頼り、自分の罪の性質と闘っていかなければなりません。ご聖霊の助けがなければ生活は変わらないのです。ただ、聖書の物語に立つと、日常生活の中で、どちらの方向に歩んだら良いのかが、今までよりもはっきりと見えてくると思います。
真理への旅
ここでシリーズを締めくくるにあたって、参考になる本などを以下に紹介しました。
また、聖書が全体を通して語っていると今私が信じているメッセージを以下に短くまとめてみました。リチャード・ボーカム、クリス・ライト、N・T・ライトなど、福音派の指導者たちは、基本的に同じ物語を語っています。ここで「今私が信じている」と付け加えたのは、ボーカムや両ライトも含め、全員が真理に向かっての旅の途中だからです。確かに、私たちの物語のほうが、プラトンの物語よりも聖書に近いかもしれません。しかし、それでも人間が聖書を読んで思索してまとめたもので、完全なものではなく、しかも、個人差もあります。ですが、それでよいのです。
共に聴く
ただし、一個人の思索だけでは、独りよがりとなって真理に近づきにくいのではないかと思います。私たちは、先達の考えに触れながら、自分なりに聖書を読み考えるだけでなく、それを小グループや友人たちと分かち合う、そして互いの意見を聞き合っていく、そのなかで、少しづつ、共同体として真理に近づいていけるのではないかと思うのです。そのような皆さんの旅に、私も加えていただければと思います。
共に生きる
また、聖書を開くのは、自分と共同体の生活に生かすためです。何といっても、み言葉は共同体として聴くだけでなく、共同体として生きるために与えられているのですから。政治や経済、そして、何を買うのか、何を食べるのか、ファッションや遊び、ダンスや音楽まで、生活の全体について、クリスチャンが、聖書を基盤に、真剣に、楽しく、笑いながら語り合えたら、楽しいと思いませんか。それを共に実践できたら、もっと楽しいでしょうね。
今回のシリーズに、最後までおつきあいくださり、本当にありがとうございました。心より感謝しています。
島先克臣
聖書のメッセージ
聖書の救いは「世界から逃げることではなく、世界を回復すること」です。これは実は聖書の最初から最後まで貫かれているメッセージであり、神の熱い思いです。
旧約聖書
旧約聖書を読むと、創世紀3章の原福音、ノアの洪水、アブラハムの選び、イスラエル民族に与えられた律法、王制など、を通して、神は世界を回復しようとしてきたことがひしひしと伝わってきます。そして、旧約聖書の預言書では、将来、神が全世界の王となって、全地を正義と公正、愛と平和で満たすと約束しています。
新約聖書
そして神は、ついに独り子イエスを遣わして、十字架の上で世界を歪めた罪の問題を完全に解決しました。現在、神は、イエスと聖霊により、その弟子たちであるクリスチャンを通して、世界を本来の「非常に良かった」世界に回復しようとされています。そして、イエスがもう一度来られて、この世界を「非常に良かった」ものとして完成してくださることを、クリスチャンは待ち望んでいるのです。
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書籍等の紹介
1)『神のご計画』(聖書を読む会発行):これは50ページの小冊子で、簡単に読むことができます。それと同じ内容ですが、キリスト教が初めてという方といっしょに学べる『救いの基礎』というワークブックがあります。それぞれ五百円で入手しやすくなっています。
2)『聖書六十六巻を貫く一つの物語』(関西聖書神学校校長鎌野直人著、いのちのことば社)は、1)よりも詳しくその流れを追って行きます。
3)『わが故郷、天にあらず』(いのちのことば社)は、この「回復」という視点で地上で生きるクリスチャンの姿を楽しく、美しく描いた本です。一部の紹介を以下のウェブページに挙げています。入手が難しい場合は、メッセンジャーで私にご連絡ください。
書籍の一部の紹介:「第八章 遊びの精神」
また、G&M財団のオーディオ・ブックのリストにも挙げられています(https://jsubookclub.jp/books#book688)。
4)最後になりますが、Eラーニングの紹介です。旧約聖書と新約聖書が、それぞれどのように「回復」の思いを伝えているのか、いつどのようにキリスト教がプラトン主義の影響を受けるようになったのかなどを、今年、9月より、グレース・オン・ラインというEラーニングでお話しする予定ですので、興味あるかたは有料なのですが、ご参加ください。このプロモーションビデオは、私がこの問題に取り組み始めたきっかけを語っています。
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